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あれこれ考えてみて、こつこつオレンジを運ぶのと、
卒業試験に合格して将来の軍資金をもらうのとだと
上手くいけば試験のほうが早い、のかなと思い立ちました。
とらぬ狸さんのなんとやらではあるのですけれど。
そんなわけで、お借りした手袋をきちんと嵌めて、鏡をしっかり持って
忘れものがないか指差し確認してから、カノン大草原までひとっ飛び。
見渡す限りの緑、渡ってくる風も草の匂い。気持ちのいいところです。
でも深入りはしないことにして、街から離れすぎないところで
鏡をのぞきこみます。
上手く使いこなせるかどうかも心配だったけれど
いい匂いのする樹がばっちり映って見つけられました。
＜香木の樹液＞を２つ入手！
薬品(3)/3/1/0 は
ランク３、素材値３、加工値１、魔力値０の薬品、という意味。
ランクは今回は３のままでいいからいいとして。
素材値、加工値、魔力値は、基本的に
調合する全ての素材の値を合計すれば、出来上がるものの数値になるそうだから
…うん。教本とにらめっこしながらした計算があっていれば、
この２つで、提出要件を満たせるポーションを作れるはず。
戻ってひと休みしてから、やってみようっと。
それにしても、氷色の鏡はぴかぴかでひんやりしていてほわほわで綺麗です。
しあわせー。
牧場の旦那さんにひとまず作業着をお返ししてお礼を言って。
港町へオレンジを運ぶお仕事も試しにやってみる。
壊血病って怖いですものね。っていうのは、本で読んだことしかないのですけれど。
空を飛ぶのはやっぱり気持ちがいいし、飽きません。
何だかすっきりした気持ちで、港町のお店も一通り見て回ってみてから、
パッフェルベルへ。
学院の入り口の掲示板にはいろんな人のお声があって、
何だか嬉しくなりました。思い切ってご挨拶してみて良かった。
それから勇気を出して、ペルセフォネさんへお願いを出してひと休み。
……本当は分不相応じゃないかとか、厚かましくて失礼なお願いじゃないかと心配で
そわそわしていたのですが。
（……ひにゃー！！？）
ま、また声にならない声がっ。
急がないから、とのことで、後払いの扱いにしてくださって、
もう送ってくださっていました。
どうしましょう。深呼吸、深呼吸。
今度こそはその場でお礼のお返事をしたためました。
お言葉に甘えすぎないように、早いところお金に余裕を作りたいところです。
と現実的なところを考えて沈静を試みます。
（……ひにゃーっ！？）
こ、声にならない声が。
ものすごく強そうな、素敵な手袋を貸していただいてしまいました。
どの位のモンスターさんにどこまで対応できる、なんてことは
まだ場数がたりなくて実感できないけれど、
見習いの立場ではとても手がとどかなそうなもののような気がします。
ど、どうしましょう。深呼吸、深呼吸。
受け取った時は上手くお返事できなかったので、
教えていただいた郵便局からひっそりお手紙を送ることに。
まず卒業を、ご恩を返すにも頑張らなくちゃ。
落ち着いたところで、先輩方に教わったことのメモ。
・採取用の道具を調達することを目標に
・お鍋が基本の道具で一番大事。グレードアップはどかんとすること。
どこから手をつけていいのか、とにかく教本と顔を突き合わせていただけだから
ぱっと目の前がひとつ明るくなった気分。
街のお店や掲示板を見て回っていると、いいものは相応のお値段がします。
でも安価で掘り出し物が売られているかもってしれないよって場所は、その評判が頷けるのもわかります。
色々見比べて、もうちょっとちゃんと水準がわかるようになりたいな。
とにかく、卒業。
それから当面の大事な目標はお鍋。
手袋は、一刻も早くお返しできるようにしませんとね。
お勉強の合間に、牧場でアルバイトをさせてもらいました。
身に着けたい事柄が多くて少しパンクしそうになっていたところだけど、
朝早く起きてにわとりさんのお世話をするのは、コツがわかるとちょっとたのしい。
とりあえず何事も焦らずに、じっくり時間をかけて取り組むこと。
…ヌシの風格を備えたにわとりさんとにらめっこしていると、何だか体力を使うけど。
そっと貰ってきた卵と引き換えにお金をもらう。
自分で働いてもらったお金って、やっぱりいいです。
アリエータのノートです。日々のことやメモを書き散らす予定。
何のことやら、な方は回れ右をおすすめです。